
※この記事は、主に中小企業・小規模事業の経営者の方を想定して書いています。
【経営者編7|理解編】では、
なぜ多くの会社で
「強みがあるのに伝わらない」
という状態が起きるのかを整理しました。
理由はシンプルで、
価値が足りないのではなく、
散らばったままになっているからでした。
では次に考えたいのは、
その散らばった魅力を
どう整理し、どう並べるかです。
ここからは、
言葉をうまくする話でも、
売り方のテクニックでもありません。
価値の地図を描くときに、
どこを中心に置き、
どこを後ろに回すか。
その構造の考え方を見ていきます。
価値は「集める」のではなく「並べ替える」
価値の地図を描くというと、
「強みを集める」「魅力を書き出す」
ところから始めなければいけないと
思われがちです。
でも実際には、
何が価値なのか分からない
言葉にできたことがない
という会社も少なくありません。
- 自分たちの良さを聞かれても、すぐに出てこない
- 「うちは普通です」と言ってしまう
- 強みを整理する以前に、考えた経験がない
そういう状態でも、
問題ありません。
価値の地図を描く作業は、
何かを新しく見つけることよりも、
すでにある事実や経験を、あとから並べ直すこと
から始まります。
いきなり「強み」を決めなくていい。
最初は、
やってきたこと・言われてきたこと・続いていること
を並べるだけで十分です。
そこから少しずつ、
中心になりそうなものが見えてきます。
の会社は、
魅力が足りないのではなく、
全部を同じ位置に置いてしまっているだけ。
最初に決めるのは「中心」
構造編で一番大切なのは、
どれを中心に置くかを決めることです。
ここでいう中心とは、
- いちばん得意なこと
- いちばん伝えたいこと
とは限りません。
大事なのは、
「最初に見せると、判断しやすくなるもの」。
お客様が
「これは自分の話かどうか」
を判断できる起点。
それを、
価値の地図の中心に置きます。
中心に置かないものも、価値は下がらない
ここで、
多くの経営者が悩みます。
- これを中心にしなかったら、軽く見られないか
- 他の強みが埋もれないか
でも安心してください。
中心に置かない=価値が低い
ではありません。
地図でいうと、
- 中心=現在地
- 他の魅力=周辺情報
という関係です。
中心が決まると、
他の魅力も
「どうつながるか」が分かりやすくなる。
迷う会社は「全部、最初に言おうとする」
価値の整理ができていない会社ほど、
最初の一言に
全部を詰め込もうとします。
- 技術も
- 実績も
- 想いも
結果、
お客様は判断できなくなります。
価値の地図を描くというのは、
順番を決めること。
- まずこれ
- 次にこれ
- 最後にこれ
この流れがあるだけで、
伝わり方は大きく変わります。
「捨てる」のではなく「後ろに回す」
構造編で誤解されやすいのが、
「何かを捨てなければいけないのか?」
という点です。
答えは、捨てません。
ただし、
- 最初に言うもの
- 後から伝えるもの
を分けます。
これは妥協ではなく、
相手に合わせた設計。
結果として、
- 無理な比較が減る
- 合わない人が自然に離れる
- 合う人と深い話ができる
状態になります。
構造が決まると、判断が楽になる
価値の地図が描けると、
日々の判断が変わります。
- この情報は前に出すか
- それとも後ろに回すか
- 今回は触れなくていいか
迷いが
感覚ではなく構造になります。
これは、
Webサイトだけの話ではありません。
- 営業
- 採用
- 企画
- 発信
すべてで、
同じ判断軸が使えるようになります。
完璧な地図はいらない
最後に、とても大事なことを。
価値の地図は、
一度で完成させるものではありません。
- 最初は粗くていい
- ズレたら直せばいい
- 状況が変わったら書き換えていい
だから、
完璧を目指さなくていい。
大事なのは、
地図を持たずに動かないこと。
次につながる話
ここまでで、
- 価値をどう並べるか
- 中心をどう決めるか
- 判断をどう楽にするか
という
構造の考え方を整理しました。
次は、
この構造を使って
どうやって伝わる形に落とすか。
※この記事は、価値の地図を「どう描くか」を扱っています。
考え方の前提を整理した
👉 【経営者編7|理解編】価値の地図とは何か から読むと、全体がつながります。
👉 次回の【経営者編8】では、
価値・構造・導線を一本につなぐ話に進みます。
