【経営者編9|理解編】“伝わる”だけでは足りない理由|なぜ行動は起きないのか

※この記事は、主に中小企業・小規模事業の経営者の方を想定して書いています。

説明は伝わっているのに、なぜ決まらないのか

ここまでで、
「なぜあなたの価値が伝わらないのか」という構造については、
ある程度整理できたはずです。

説明は以前より分かりやすくなった。
言葉も整理されてきた。
何をしている会社なのかも、きちんと伝えている。

それでも…
なぜか行動につながらない。

「いいですね」と言われる。
「分かりやすいですね」とも言われる。
でも、問い合わせは増えない。
最終的に選ばれない。

この段階で、多くの経営者はこう考えます。

  • まだ説明が足りないのか
  • もっと強く背中を押すべきなのか
  • 最後のクロージングが弱いのではないか

この感覚自体は、間違っていません。
なぜなら、経営者は“決めさせる立場”に慣れているからです。

目次

経営者が「クロージングしたくなる」のは当然

現場の経営者は、こうやって成果を出してきました。

  • 相手の迷いを感じ取る
  • 情報を整理してあげる
  • 最後に背中を押す

対面営業では、
これはとても有効なやり方です。

相手との関係性があり、
空気があり、
表情や反応を見ながら調整できる。

だから経営者は、
無意識にこう思ってしまいます。

「最後は、こちらが決めさせないと動かない」

これは経験からくる、正しい感覚です。

でも、そのクロージングをWebに持ち込むと何が起きるか

問題は、
この“正しい感覚”を
そのままWebに持ち込んでしまうことです。

Webサイトでは、

  • 相手の表情は見えない
  • 関係性もまだない
  • 信頼は、これから作られる段階

そんな状態で、

  • 今すぐ行動してください
  • こちらがベストです
  • 比較するなら当社です

と迫ると、
何が起きるでしょうか。

顧客は「選ぶ人」ではなく、
「守る人」になります。

決断する側ではなく、
防御する側に回る。

これが、
“伝わっているのに行動が起きない”
最大の理由です。

行動が起きないのは、説得不足ではない

この状態を見て、
経営者はさらにこう考えがちです。

  • もっと説得力が必要なのでは
  • 強い言葉が足りないのでは

でも、ここで起きているのは
説得不足ではありません。

顧客が「選ぶ立場」に立てていないのです。

  • 理解はしている
  • 共感もしている
  • 信頼も感じ始めている

それでも、

「私は、どの立場で判断すればいいのか」

が分からない。

だから決められない。

Webでやるべきクロージングは、まったく別物

ここで、はっきり言っておきます。

Web上でやるべきなのは、
決断させるクロージングではありません。

Webで経営者がやるべきことは、

顧客が「判断者として立てる状態」を
きちんと完成させること。

これが、
Webにおけるクロージングです。

  • 押すこと
  • 急がせること
  • 決めさせること

ではありません。

「選ぶ立場」を奪っていないか

多くのWebサイトでは、
善意から、こんなことが起きています。

  • 情報を全部並べる
  • 選択肢をすべて提示する
  • 最後は顧客に委ねる

一見、親切に見えます。

しかし実際には、
顧客をこういう状態に置いています。

「判断してください」
でも
「判断する位置」は示されていない

これは、
選ぶ立場を与えているのではなく、
放り出している状態です。

あなたは、もう「選ばせる側」ではなく「整える側」

ここで、経営者に伝えたいことがあります。

この段階で悩んでいるあなたは、
売ることしか考えていない人ではありません。

  • 誠実に仕事をしている
  • 情報を隠していない
  • 顧客に考える時間を与えたい

ちゃんとやっている側です。

ただし、
Webでは役割が変わります。

経営者は、

  • 決めさせる人
    ではなく
  • 決められる状態を整える人

になる必要があります。

“伝わる”は、まだ途中段階

伝わることは大切です。
でも、それはゴールではありません。

  • 伝わる
  • 理解される
  • 共感される

その先に、
「私はこの立場で、これを選ぶ」
という地点があります。

行動が起きないのは、
あなたの説明が足りないからではない。

その地点まで、顧客を連れて行けていないだけです。

まとめ|Webでのクロージングとは何か

  • 経営者がクロージングしたくなるのは自然
  • ただしWebでは、同じやり方は通用しない
  • 押すほど、顧客は防御に回る
  • Webの役割は「決断できる状態」を完成させること

ここまでが、
“伝わる”だけでは足りない理由です。

次の章では、
その「判断できない状態」が
どこで生まれているのかを、
構造として解きほぐしていきます。

「伝わっているのに、なぜ行動が起きないのか」
その理由は、経営者の姿勢だけでなく、Webサイトの構造にもあります。
👉 【経営者編9-2|構造編】行動を生む“差別化の本質”とは|なぜ判断は止まってしまうのか

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