
※この記事は、主に中小企業・小規模事業の経営者の方を想定して書いています。
多くの経営者は、
「新規のお客様を増やしたい」
と考えています。
ところが実際には、
新規を取りたいと言いながら、
発信や説明の多くが
「慣れている人」基準で作られています。
これは怠慢でも、意識不足でもありません。
長く事業を続けていれば、
どうしても
分かってくれている人、
これまでのお客様、
業界を知っている人を前提に
考えてしまうからです。
ただ、新規のお客様は違います。
初めての方は、前提も、判断軸も持っていません。
だからこそ、
すべてを「初めてのお客様」基準で考える。
この視点に立ったとき、
伝え方だけでなく、
会社全体の構造が整い始めます。
このページでは、
なぜ「初めてのお客様」を基準にすると
うまくいくのか。
その考え方を、順を追って整理していきます。
初めてのお客様を基準に考えると、なぜうまくいくのか
多くの経営者は、
「新規のお客様を増やしたい」
と考えています。
これは特別な欲張りではありません。
事業を続けていく以上、
新しい出会いが必要になるのは自然なことです。
ただ、実際のWebサイトや説明を見てみると、
初めてのお客様を基準に設計されていない
ケースがとても多い。
- これまでのお客様なら分かるだろう
- 業界の話は、ある程度知っているはず
- ここは説明しなくても伝わるだろう
そんな前提が、
無意識のうちに入ってしまいます。
その結果、
新規を取りたいと言っているのに、
新規の方にとっては判断しにくい構造
になってしまうのです。
新規が来ないのは、努力や熱量の問題ではない
ここで大切なのは、
「頑張っていないから」
「説明が足りないから」
という話ではない、ということです。
多くの会社は、
- 情報も出している
- サービス内容も説明している
- 想いや実績も積み重ねている
それでも、
初めてのお客様が
「よく分からないまま離れる」
ということが起きます。
理由はシンプルで、
考える基準が「慣れている人」になっている
からです。
初めてのお客様を基準にする、という考え方
ここで言う
「初めてのお客様を基準にする」とは、
レベルを下げることでも、
専門性を隠すことでもありません。
判断の起点を、
いちばん前に戻す
ということです。
初めてのお客様は、
あなたの会社について、
- どんな会社なのか
- 自分に関係があるのか
- 何を基準に見ればいいのか
を、まだ知りません。
この状態を前提にして考えると、
- どこから説明すべきか
- 何を先に見せるべきか
- どこで判断してもらうのか
が、自然と整理されていきます。
「慣れている人」を基準にすると起きるズレ
事業を続けていると、
どうしても
「分かっている人」
を想定して話してしまいます。
でも、その前提は
初めてのお客様には共有されていません。
そのため、
- 話が飛んで見える
- どこが重要なのか分からない
- 判断材料を見つけられない
という状態が生まれます。
これは、
伝え方の問題ではなく、
順番の問題です。
すべてを初めてのお客様基準にすると、全体が整う
不思議なことに、
初めてのお客様を基準にして設計すると、
- 新規のお客様
- 既存のお客様
- 紹介で来た方
- 社内のスタッフ
すべてにとって
分かりやすくなります。
なぜなら、
全体の構造が見えるからです。
説明を増やしたわけでも、
表現をやさしくしたわけでもありません。
判断の道筋が、
整理されただけです。
「物語」は主役ではなく、補助線
ここでよく出てくる言葉が、
「物語」「ストーリー」です。
ただし、
ここで言う物語は、
- 感動させる話
- 創業ストーリー
- 熱い想いを語ること
ではありません。
物語とは、
理解の順番を整えるための補助線
のようなものです。
- なぜこの話から始まるのか
- 次にどこを見ればいいのか
- どう判断すればいいのか
初めてのお客様が迷わないために、
全体をつなぐ役割を担います。
スペック勝負が成り立つ場面も、確かにある
誤解してほしくないのは、
物語がなければ価値が伝わらない、
という話ではないことです。
- 価格
- 性能
- 実績
これらが
判断の決め手になる場面も、
確かにあります。
ただ、初めてのお客様にとっては、
「どのスペックを、どう見ればいいか」
が分からないことも多い。
そのときに、
判断の順番を整える補助として、
物語が役に立つ場合があります。
初めてのお客様は、もっとも現実的な基準点
初めてのお客様は、
- 好意も
- 思い入れも
- 前提知識も
ほとんどありません。
だからこそ、
ここを基準に考えると、
ごまかしが効かなくなります。
売るためではなく、
判断しやすくするために整える。
この姿勢がある会社ほど、
結果的に
安定して選ばれるようになります。
初めてのお客様には届かない原因を整理しました。
👉 【経営者編8|構造編】初めてのお客様に、
なぜあなたの価値は届かないのか
