
※この記事は、中小企業・小規模事業の経営者の方を想定しています。
同じ努力をしても成果が出る会社と出ない会社の“違い”を整理します。
「うちの商品は悪くないのに、なぜ選ばれないのだろう…」
経営者が最初に行き着く悩みは、
商品やサービスの“質”ではありません。
多くの場合、その悩みの正体は 「顧客視点の不足」 です。
ただし、ここで言う“顧客視点”は、
世の中でよく語られている
「お客様の気持ちになって考えましょう」
というふんわりしたものとは違います。
中小企業がつまずく原因のひとつは、
“売り手の感覚”で自社を語り、
“買い手の判断基準”とズレてしまうこと。
そのズレが、価値が伝わらない最大の理由です。
経営者自身も“買う側”のときは慎重なのに、
“売る側”になると途端にその視点を忘れてしまう。
- どこで迷うのか
- どこに不安があるのか
- どの瞬間に買う気が下がるのか
- 何を比較しているのか
こうした「買い手のリアル」を見ないまま
ページを作ってしまうから“選ばれない”。
そしてこれは、能力の問題ではありません。
視点の問題です。
経営者編3では、
あなたの会社に眠っている価値を、
「買い手のメガネ」で見たとき、どう見えるのか?
を徹底的に整理します。
これは、経営者編1 → 2で整えてきた
- 「誤解の解消」
- 「言語化のズレ」
ここから、
「なぜ伝わらないのか」を
少し具体的に見ていきます。
“売り手の都合”で書くのではなく、
“買い手の判断”で伝える。
その視点が身につくと、
同じ商品でも驚くほど伝わり方が変わり、
比較で負けにくくなり、
問い合わせが自然と増えていきます。
次から、
「顧客視点とは何か?」
その誤解と本質をわかりやすく整理していきましょう。
人は、買うときの方が厳しい。
経営者自身も“買う側”になると、とても慎重になるのに、
“売る側”になるとその視点を忘れがちです。
なぜ“顧客視点”が欠けると選ばれないのか
“売り手の感覚”で作ったページは、必ずズレる
中小企業のホームページが成果につながらない一番の理由は、
「売り手の感覚で作られている」 ことです。
売り手にとっては当たり前の強み、
日常的に聞き慣れた専門用語、
長年の経験からくる感覚――
それらはすべて、買い手には“伝わらない言葉”になります。
なぜなら、
買い手は常に「自分に関係あるかどうか」で判断しているから。
売り手の熱量や歴史をいくら語っても、
買い手の判断基準に合っていなければ
「よくわからない」「自分のこととして想像できない」
という状態になってしまう。
これが“売り手の感覚”で書いたときに起きるズレです。
買い手は「納得できる理由」を欲しがっているだけ
買い手はワガママでも、細かいわけでもありません。
ただ、
- 自分の問題が解決できるのか
- リスクはないのか
- なぜこの会社を選ぶべきなのか
- 他社と比べてどう違うのか
- 失敗しない理由があるのか
この「納得する理由」を求めているだけです。
しかし売り手は、
「良いものを作っている」「誠実にやっている」「技術がある」
という“自分側の論理”で説明してしまいがち。
ここに、致命的なギャップが生まれます。
買い手が欲しいのは“魅力”ではなく、
安心・納得・比較の根拠です。
顧客視点が欠けた会社に起きる“典型的な失敗”
顧客視点がない会社は、
ページ作りの段階でほぼ同じ失敗をします。
- 説明が多すぎて読み手が迷う
- 必要な情報が抜けていて理解されない
- 比較で負ける(判断材料が弱い)
- 強みが言語化されていない
- “伝えたい内容”が先にきて、顧客の疑問を置き去りにする
- ページを見ても安心材料がなく、離脱される
そして最終的に経営者はこう言います。
「どうして選ばれないんだろう…?」
「魅力を伝えているつもりなのに…」
でも実際は、
魅力がないのではなく“伝わっていないだけ”。
顧客視点が欠けていると、
どんなに良い商品・サービスでも評価されません。
多くの中小企業が誤解している“顧客視点”
顧客視点という言葉はよく使われますが、
多くの会社はその意味を正しく理解できていません。
ここでは、とくに多い“3つの誤解”だけにしぼって整理します。
①「お客様の気持ちになること」だと思っている
顧客視点は、
「自分がお客様ならこう思う」という想像ではありません。
必要なのは、
- レビュー
- クレーム
- 現場の質問
- 離脱データ
といった “生活者の事実”で判断する視点 です。
②「誠実なら伝わるはず」と思い込んでいる
誠実さは価値ですが、
買い手は“最初はあなたを知らない”状態です。
買い手が求めているのは
- 不安の解消
- 比較の根拠
- 失敗しない理由
といった 納得の材料。
誠実さだけでは伝わりません。
③ 業界の“当たり前”は説明しないのに、相手は分かってくれると思っている
中小企業ではよく、
“ろくに説明していないのに、相手は理解しているはず”
と信じてしまうケースが驚くほど多いです。
なぜかというと、
社内では当たり前すぎて、
“わざわざ説明する価値がある”と気づいていないから。
しかし買い手は、
- 業界知識ゼロ
- 専門用語ゼロ
- 経験ゼロ
- 前提知識ゼロ
つまり、
売り手が当たり前だと思っていることほど、説明しなければ伝わらない。
それなのに、
説明していない部分を“お客様は理解しているはず”と信じてしまう。
これは厳しい言い方ですが、
会社側が「相手が分かってくれている前提」で動いてしまう“甘さ” が原因です。
結果として、
- 誤解される
- 伝わらない
- 比較で負ける
- 選ばれない
という状況を自分たちでつくり出してしまうのです。
【まとめ】
説明していないのに、理解してもらえると思い込んでいる。
それが一番の伝わらない原因。
顧客視点をつくる“3つの軸”
顧客視点は感覚ではなく、
3つの軸で判断する“技術”です。
① 生活者の「事実」で判断する
顧客視点の出発点は、
“お客様が実際にどう動いているか”という事実。
- レビュー
- クレーム
- よくある質問
- 離脱ポイント
主観ではなく行動の事実。
② 「理解の順番」を合わせる
売り手の説明順ではなく、
買い手が理解できる順番に合わせる。
- 何が最初に気になるか
- どこで迷うか
- 何が決め手になるのか
買い手のプロセスにページを合わせる。
③ 納得できる「判断材料」を出す
買い手は想いでは動かない。
必要なのは、
- 選ぶ理由
- 違いの根拠
- 価格の納得感
- 不安の解消
“選べる理由”と“安心材料”が絶対に必要。
【まとめ】
顧客視点=事実 × 順番 × 納得材料。
この3つが揃って、初めて“伝わるページ”になる。
売り手と買い手が“ズレる瞬間”
売り手と買い手は、
見ているポイントも、判断基準も、理解のスピードも違う。
この“ズレ”が価値の伝わらない最大の原因です。
① 売り手は“説明”したい、買い手は“納得”がほしい
売り手は
「良さを説明すれば伝わる」と思いがち。
でも買い手は、
- 自分の不安が消えるか
- 他社より納得できるか
- 失敗しない根拠があるか
=理由と根拠がないと前に進めない。
② 売り手は“スペック”、買い手は“価値”を見る
売り手はスペックや技術を語るが、
買い手はそれ自体に興味がありません。
知りたいのは、
- だから何がいいの?
- 何が変わるの?
スペック → 価値への翻訳が必要。
③ “業界の当たり前”を説明しないのに、相手は分かっていると思い込む
中小企業で最も多いズレ。
- 業界の常識
- 当たり前の工程
- 専門用語
- 前提知識
これらを“説明しなくていい”と思ってしまう。
でも買い手は 知識ゼロ。
説明していないのに、
理解されると思い込むのが最大の伝達ミス。
【まとめ】
売り手は“知っている人”、
買い手は“初めての人”。
前提が違うまま説明しても絶対に伝わらない。
ここまでで、
- 生活者と売り手の“見えている世界”が違うこと
- 説明と納得のズレ
- 業界の当たり前を説明しない危険性
- “買う理由”が分からないと守りに入る構造
…といった 顧客視点の根本的なズレ を理解できたと思います。
しかし、
理解しただけでは問い合わせは増えません。
次のステップは「実践」です。
ここからは、
実際にページへ落とし込む方法を扱います。
つまり、
- どの順番で説明すれば迷わないのか
- どんな言葉が“伝わる言語”なのか
- 不安をどうやって解消するのか
- 比較されても負けない構造はどう作るのか
- 生活者の行動をどうページに反映するのか
これらを “実際のページ改善の手順” として解説するのが
次の 実践編(Actions) です。
理解編は「地図」、実践編は「道」です。
理解編で “なぜ伝わらないか” が分かり、
実践編で “どう伝えるか” が明確になります。
この2つが揃って初めて、
問い合わせが増える導線が完成します。
では、ここからいよいよ――
実際に“顧客視点でページを作る方法”へ進みます。
最後に伝えておきたいこと
ホームページ改善やEC運営で、
ほぼすべての会社に共通している“現実”があります。
それは…
お客様は読まない・見ない・気づかない。
これはネガティブな意味ではなく、
ただの“人間としての自然な行動”です。
私はよくスタッフにこう言ってきました。
「お客様に期待しないで。
読み飛ばすことを前提で、気づくように設計して」
サムネに“送料無料”と書いてあっても聞かれる世界
ECでは日常的にあることですが、
- サムネ1枚目に大きな文字で「送料無料」と書いてある
- 商品説明にも書いてある
- カート横にも書いてある
それでも、お客様は普通にこう聞きます。
「これ、送料無料ですか?」
これは、お客様が不親切だからでも、
スタッフが悪いからでもありません。
お客様は、探さない。見ない。
そして、自分に必要な情報だけ欲しい。
ただ、それだけの話。
だからこそ“設計”が必要
ホームページも同じで、
情報が整っていないと、
- お客様が知りたいことが出てこない
- 不安が解消されない
- 比較の材料がない
- 納得の理由が見つからない
結果として 何も言わずに離脱していきます。
問い合わせが増えない理由は、
「努力が足りない」のではなく、
“お客様が気づける場所に大事なことが置かれていない”
ただ、それだけ。
読み飛ばされる前提で構成し、
必要な場所に、必要な順番で、必要な理由を置く。
これが 顧客視点の本質であり、
次の“実践編”につながる基礎になります。
【まとめ】
「お客様に期待しない。
その前提で“気づく仕組み”を作ることがプロの仕事。」
次回の【経営者編4|実践編1】では、
今日の理解をページ改善の実践方法として落とし込みます。
一緒に進めば“選ばれる導線”が見えてきます。
