【基礎編・考え方1】顧客満足は、きれいごとではなく「仕組み」です

私は、「顧客満足」という言葉が、
あまり好きではありません。

一歩間違えると、
きれいごとに聞こえるし、
どこか無理して言葉にしているイメージがあるからです。

でも、私がずっと取り組んできたのは、
そういう抽象的な話ではなく…

目標はただひとつで、
「お客様に一度も嫌な思いをさせない」
それを、気合や根性ではなく、
仕組みとして作ることです。

目次

私の原点は、ネットショップ黎明期にあります

2000年代のはじめ。
ネットショップが、今ほど当たり前ではなかった頃。

正直に言えば、
私自身もこう思っていました。

買ったら、本当に届くのかな?
私、だまされてない? 大丈夫かな?

そんな時代に、心配しながらも、
それでも買ってくださるお客様がたくさんいました。

その頃の私は、それがとっても嬉しくて…
売上のデータを見るたびに、
画面に表示されるお客様の名前を見て、
毎回、頭を下げてお礼を言っていました

こんなに分かりづらい世界で、
不安を感じながらも買い物をしてくれている。

それが、奇跡のように思えたし、
単純に嬉しくて仕方がなかったのです。

ここから、すべてが始まりました。

私が見ていたのは、クライアントではなく「その先のお客様」

その後、私はコンサルという立場になりましたが、
やっていたことは、ずっと同じです。

  • クライアントに褒められること
  • 業界で評価されること

よりも先に、
買い物をする人の不安を取り除くこと
ばかりを考えていました。

だから、店舗さんに言い続けていたのは、これです。

  • 届く前から
  • 届いた後まで
  • 一度も嫌な思いをさせないこと

そして、それを
「がんばり」だけではなく「仕組み」にすること。

ネットショップは規模が小さいうちは、
人の判断で何とかできます。

しかし、売上が伸びるほど、
親切や配慮は「仕組み」にしなければ、
会社も人も消耗していきます。

これは、きれいごとではありません

買い物をする人の不安を取り除くことはとても大切ですが、
それ以上に…

お客様に親切にする仕組みを作った方が、
クライアントは確実に儲かったからです。

正直に言いますが、それはとても効率的なことでした。

だから、その方法を選び続けのです。

  • クレームが減る
  • 問い合わせ対応が減る
  • 社内で消耗しない
  • 判断がブレない

感情論ではなく、
一番コストがかからない運営だったのです。

会社だって、消耗戦はしたくない。
仕組みにしてしまえば、全部クリアになる。

それが現実でした。

なぜ、私はUIや表現にうるさいのか

デザイナーに修正をお願いするとき、
私の理由は、いつも同じです。

「それだと、お客様がそのボタンに気づかなくて
押せないじゃない?
お客様がかわいそうじゃん」

デザインの好みでも、
センスの話でもありません。

お客様の時間を無駄に使わせない、
判断力を奪わない。

(スピーディに判断できるか?)

それだけを見ています。

忙しい人の時間を、無駄にしないという視点

特に、私は「買う側」として、こう思っています。

女性は忙しい。

  • 仕事をして
  • 家のことをして
  • 子どもを寝かせて
  • 夜遅く、0時過ぎに買い物をする

それは、
自分のためではなく、家族のための買い物です。

疲れた頭で、
失敗したくない気持ちで、
慎重に選んでいる。

その人の時間を、
分かりにくさや迷いで無駄にさせるのは、
本当に申し訳ない。

私は、そう思っています。

親切を「属人化」させなかった理由

親切を「いい人の行動」で終わらせないために。

  • 誰がやっても同じ
  • 毎回考えなくていい
  • ミスが起きにくい

嫌な思いをしない体験を、仕組みに落とす。

それを徹底しました。

だから、お客様は戻ってきます

あるお店のレビューに、
こんな言葉が書かれました。

前回の買い物で浮気しちゃったのですが、
なんとなく満足できず、戻ってきちゃいました。
やっぱり〇〇さんのお店が一番です。

価格でも、
テクニックでも、
派手なノウハウでもありません。

「嫌な思いをしなかった記憶」が、
お客様に再び戻っていただけたという事実です。

あらためて、顧客満足とは

顧客満足とは、
感動させることではありません。

ファンにすることでもありません。

一度も、嫌な思いをしない仕組みを作ること。

感動、ファンになってもらうなんて、
その先のことではないですか?

それが、
お客様にとっても、
会社にとっても、
一番、長く続くやり方だと、私は知っています。

正直に言えば…
「顧客満足」という言葉自体、
少しおこがましいと感じています。

商品がきちんと良くて、
約束どおり届いて、対応が普通に丁寧であること。
それは、ネットショップにとっての評価「普通」です。
顧客満足以前の前提条件なんです。

本当の問題は、そのベースができていないまま、
何か特別なことをしようとすることだと思っています。

BtoBでも、ホームページでやっていることは同じです

ここまでの話を読んで、
「それはネットショップの話でしょう?」
と思った方もいるかもしれません。

でも、BtoBでも、
会社のホームページでも、
本質はまったく同じです。

やり方や表現は違っても、
人が選ぶ理由は、いつも同じだからです。

お客様は「自分の事情」だけで考えます

BtoBの現場でも、
お客様が見ているのは、ここです。

  • 価格は適正か
  • 時間がかかりそうか
  • 自分は迷わず判断できるか
  • 不安なく問い合わせできるか
  • 話が通じそうか
  • 余計なストレスがなさそうか

会社の想い、歴史、こだわりは、
そのあとです。

先に見るのは、
「この会社、めんどくさくなさそうか?」
という、とても現実的な判断。

ホームページは「自分たちのため」に作ると失敗します

多くの会社は、
「何を伝えたいか」を整理しているわけでもなく、
「どう見られたいか」を意識しているわけでもありません。

実際には、
頭の中にあるものを、そのまま外に出しているだけ
というケースがほとんどです。

それは発信ではなく、
単なる“内側の事情の吐き出し”です。

だから見ている側からすると、
「それ、こちらは知りたくないのですが…」
という内容が、平然と並びます。

これは、お客様目線が足りない以前に、
お客様が設計の中に存在していない状態です。

ホームページで失敗する会社の多くは、
「伝えたいかどうか」以前に、
“誰に向けているか、何を伝えたいか”が
決まっていません。

BtoBサイトで、よくある失敗

  • 社内では意味が通じる
  • 業界の人には分かる
  • 作った側は満足している

でも、
初めて来た人には分からない。

それは、
お客様ではなく
自分たちの思い込みを基準に作っているからです。

私が「基礎を作り直して」と言い続ける理由

BtoBでも、話すことは変わりません。

  • 迷わせない
  • 不安にさせない
  • 時間を奪わない

それを
気合ではなく、
構造と導線で解決する。

その方が、
結果が早く出て、
会社も消耗しないからです。

選ばれる理由は、いつもシンプルです

BtoBでも、BtoCでも。

選ばれる理由は、
感動でも、派手さでもありません。

「嫌な思いをしないか、スムーズに話が進むか」

その積み重ねが、
「ここに相談しよう」
につながっています。

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