【基礎編・考え方3】キャッチコピーは「接客」です

【基礎編・考え方3】キャッチコピーは「接客」です

キャッチコピーは「言葉」ではなく「接客」です。

ホームページのキャッチコピーは、
かっこいい言葉を置くことではありません。

ここは雑誌でも広告でもないです。
お店や会社が、初めてお客様と向き合う場所です。
そう、接客の場です。

だからキャッチコピーには、
売り込みよりも先に、
立ち位置・姿勢・人柄が出てしまいます。

そして…
その最初の一言で、
「この会社は信用できそうか」
「この人と話してみたいか」が、
ほぼ決まってしまうのです。

目次

よくある失敗例|キャッチコピーが「独り言」になっている

多くのキャッチコピーが失敗する理由は、
テクニック不足ではありません。

接客になって いないからです。

よくあるのは、こんな状態です。

  • 自分たちが言いたいことだけを並べている
  • 誰に向けた言葉かが見えない
  • 抽象的で、現実味がない
  • かっこいいが、距離を感じる
  • どこかで見た、自分たちらしくない言葉を書いている

これはすべて、
「相手を見ずに話している」状態。

つまり、
独り言を、玄関先で大声で言っているのと同じです。

本人たちは一生懸命でも、
お客様は静かに引いていきます。

最初の一言で信頼を落とすケース

キャッチコピーが 怖いのは、
失敗してもクレームが来ないことです。

ただ、
何も起きないまま、誰も入ってこない。

特に危険なのは、

  • いきなり自慢から始まる
  • 専門用語を並べてしまう
  • 理想論・理念だけを語る
  • 強すぎる断定や煽り表現

これらはすべて、
接客でいうと…
名刺も出さずに説教を始めるようなもの。

悪気はなくても、
信頼は一瞬で下がります。

キャッチコピーに必要なのは「技」より「向き合い方」

私は、
キャッチコピーのテクニック論を
皆様にお話しするつもりはありません。

ですが、見せ方はとても重要です。

なぜなら、
言葉は「扱い方」で伝わり方が変わるから。

意識したいのは、こんなことです。

  • 日本語のやわらかさ・余白・温度
  • 数字を使って、現実を感じさせる
  • お客様の声を、そのまま借りる
  • お客様担当のスタッフの言葉を拾う
  • できるなら「いいところ100」をやってみる

特に、
お客様の声は最高のキャッチコピーです。

そして意外と、
一番大事な言葉は、
目立たない人の口から出てきます。

「いいところ100」とは

商品やサービス、接客、社内の工夫など、
自分たちの「当たり前」を100個書き出す作業です。
数を出すことで、後半に本音と本質の言葉が自然に残ります。

日本語の美しさと、キャッチコピーの相性

キャッチコピーを作るなら、
日本語に徹底的にこだわってください。

日本語は、
ひらがな・カタカナ・漢字・英語を組み合わせるだけで、
意味だけじゃなくリズム・温度・余韻まで設計できる言語です。

たとえば「生きがい」みたいな一言は、
英語にすると説明が必要で、平気で3行になります。
でも日本語なら、一言で届く

だからこそ、ここを雑にやるのはもったいない。
キャッチコピーは、内容以前に、
日本語の扱い方で勝負が決まります。

日本語を雑に扱う会社に、接客はできません。

キャッチコピーは「会社の人柄」がにじむ場所

キャッチコピーは、
言葉の上手さを競う場所ではありません。

ここで見られているのは、

  • 誠実さ
  • 距離感
  • お客様への姿勢

つまり、
接客そのものです。

だから私はいつも、こう考えています。

キャッチコピーとは、
「最初にかける一言の、温度」です。

ここが整うと、
デザインも、文章も、導線も、
自然とブレなくなります。

じゃあ、どうやって言葉を集めるか

キャッチコピーは、
考えてひねり出すものではありません。
また誰かの真似(雑誌や本の言葉)を
そのまま出す場所でもありません。

集めるものです。

まずやるべきことは、とても地味です。

  • お客様に、実際に言われた言葉を書き出す
    → ほめられたこと、喜ばれたこと
  • 電話・メール・対面での言葉を拾う
  • クレームになった時のお客様との会話、
    → その後の解決の話も

また他にも、

  • 購入前に迷っていた理由
    → なぜすぐ決めなかったか/比較していた相手
  • 最初に聞かれた質問
    → 不安の正体。キャッチの素材の宝庫
  • 購入後に言われた一言
    → 「思ってたのと違った」「ここがよかった」など
  • 断られた理由
    → 選ばれなかった言葉も、実は超重要)
  • 社内の人がよく使う説明
    → そのまま使わない前提で。ズレの検出用として

ここで集めるのは、
きれいな言葉ではなく、
実際に使われた“生の言葉”です。

そして、ポイントは、
ただきれいにしないこと

  • 少し不器用
  • 言い回しが洗練されていない
  • 感情がそのまま残っている

こういう言葉ほど、
キャッチの原石になります。

お客様担当、普段は発言しないスタッフから言葉をもらう

ここは、かなり重要です。

  • お客様の担当スタッフ(=一番お客様と話している人たち)
  • 会議などでは、あまり発言しないスタッフ

お客様の担当スタッフは、
日々いちばん多くの言葉を交わし、
お客様の本音・反応・温度感を誰よりも知っている存在です。

一方で、
普段は前に出ないスタッフが、
ふとした一言で核心を突くこともあります。

キャッチコピーに使う言葉は、
声の強さではなく、
現場で積み重なった事実から拾うのが一番確実です。

お客様の声は、最高のキャッチ素材

これは何度でも言いいたいのですが、

  • 会社の言葉より
  • 代表の言葉より

お客様の一言の方が強い。

少し整えるだけでいい。
盛らない。足さない。
温度を残す。

それだけで、
「信じられるキャッチ」になります。

いちばん手っ取り早いのは、
すでに外に出ている声を、ちゃんと読むことです。

  • ネットショップなら、お客様のレビュー
    ※全部読むのは正直しんどいけど(笑)、価値はあります
  • 会社のホームページなら、Googleのクチコミ
    実は、もう十分な言葉が集まっている会社も多い

そこには、
会社が言いたいことではなく、
お客様が実際に感じたことが、そのまま残っています。

少し整えるだけで、
キャッチコピーの素材としては十分すぎるほどです。

多くのお客様は、会社の言葉よりも、
他のお客様の声を読んで判断しています。

キャッチを決める前に、必ずやること

キャッチを考える前に、
絶対にやってほしいことがあります。

① 立ち位置を一文で言えるか?

まず、これ。

私たちは、
「〇〇な人」の悩みを、
「〇〇で解決する会社です」 ※きれいごと抜きで!

これが言えないまま作ると、
キャッチは必ずブレます。

② 「いいところ100」を一度やる

シンプルに、自分たちの「いいところ」をたくさん書き出す。
これが、おすすめです。

  • 商品・サービス
  • 接客
  • 会社の雰囲気
  • 小さな配慮

とにかく、一人100個を書き出す。
※5人ぐらいでやりましょう。500個 出ます。

途中で
「こんなの意味ある?」って思うけど、
70個目ぐらいから本音が出る。

ここで出た言葉は、
キャッチ候補の宝庫。

③ 最初の一言を「声に出して読む」

これは、最終チェック。

  • 声に出して違和感がないか
  • お客様に言うつもりで読めるか
  • 売り込んでいないか

声に出して言えない言葉は、
接客では使えません。

実は、やることはそんなに難しくない

ここまで読むと、
なんだかすごく難しいことを
言っているように見えるかもしれません。

でも本音を言えば、
やること自体は、意外とシンプルです。

素直に言えばいい。
本音で話せばいい。

たとえば…
「ねえねえ、よかったら、うちの商品ちょっと見ていって。」

30代の頃の私は、
そんな感じで、恥ずかしげもなくホームページで言っていました。
今思えば、それは立派な接客だったと思います。

昔は、もっと素直に書いてました…

私自身が、30代〜40代前半まで、
売り上げの数字を上げていた頃の理由を振り返ると、
正直… この天然さだったと思います。

恥ずかしげもなく、
思ったことを、そのまま言っていた。
※キャッチで書いてました…

「あなたは、何色?」
「去年のクリスマスは何してた?」

今なら、
ちょっと照れるし、
場合によっては言わない言葉です。

でも当時は、
それが一番まっすぐな接客でした。

自分自身が売り込まれるのが、嫌だった
だから私は、売ろうとしなかったんだと思います。

代わりにお客様に話しかけていたのは、
「どうしてた?」
「何が好き?」
「最近、調子どうですか?」

今思えば、
それは情報収集でも、テクニックでもなく、
ただの会話でした。

でもその会話が、
相手を安心させ、立ち止まらせ、
結果的に、ちゃんと仕事につながっていました。

まとめ|キャッチは「選ばれる言葉」じゃない

キャッチコピーは、

  • 目立つ言葉
  • うまい言葉
  • かっこいい言葉

ではありません。

安心して立ち止まれる言葉です。

だから必要なのは、
センスよりも、
テクニックよりも、

向き合い方。

実務でお客様にこれができるなら、
絶対に書けるはずです。

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