
前回の「理解編」では、
なぜ価値が伝わらないのか
そして
顧客視点とは何か
を体系的に整理しました。
- 売り手と買い手は見ている世界が違う
- お客様は読み飛ばす前提
- “買う理由”を知らないと守りに入る
- 伝わらないのは文章ではなく“順番”の問題
ここまでが、ホームページ改善の “土台” です。
しかし――
理解しただけでは、問い合わせは増えません。
次のステップは、
「顧客視点を、実際のページ構成に落とし込む」こと。
つまり、
- 何を最初に見せるべきか
- どの順番なら迷わないのか
- どこで不安が生まれ、どう解消するのか
- どのポイントで比較されるのか
- どうすると“買う理由”が伝わるのか
- どうすれば“買わない理由”は消えるのか
という “伝わる設計” の実践編 が、この経営者編4です。
顧客視点は“考え方”ではなく“技術”です。
そして、この章からいよいよ
問い合わせが実際に増えるページ構成
を一緒に作っていきます。
理解は準備でしかない
実践こそが成果をつくる。
この章で、伝わるページの“型”を完成させましょう。
顧客が“最初に知りたいこと”からページを始める
ホームページで最も大きな誤解は、
会社が伝えたい順番でページを作ってしまうこと。
でもお客様はそこを見ていません。
① 2〜3秒ルール:最初の数秒で“読むか”が決まる
ユーザーは、
ページを開いた 最初の2〜3秒で「読む or 離脱」 を判断します。
その判断基準はただひとつ。
「自分に関係あるか?」
だから最初に書くべきは、
- 誰のためのサービスか
- 何が解決できるのか
- 読む価値がある理由
この3つだけ。
② スマホは“2画面だけ”見て離脱する人が多い
ほとんどのお客様はスマホで閲覧し、
- 1画面目(ファーストビュー)
- 2画面目(軽くスクロール)
ここまでで 興味が持てなければ戻る or 閉じる。
よくあるのがこれ:
「え?ここから本題?
もう戻っちゃったよ…」
という“読み飛ばし離脱”。
つまり、
最初の2画面に “読む理由 × 安心材料” を置かないと、
そもそも勝負の土俵に立てない。
③ 売り手の言いたいことではなく、買い手の判断順で並べる
ファーストビューの目的は
「サービスの紹介」ではありません。
目的はただひとつ。
“このページ、読む価値あるよ” と伝えること。
- 想い
- 歴史
- 詳しい説明
これは後でいい。
最初に必要なのはただ一言。
「あなたの状況に合っています」
【まとめ】
「最初の2秒 × スマホ2画面」で勝負が決まる。
だから“最初に知りたいこと”から並べるだけで、
ページは迷わなくなる。」
“買う理由”を先に出す:価値翻訳の実践(両極端の“キャッチ迷子”)
多くの企業は、
“買われる理由” が明確になっていないため、
キャッチコピーが 2つの極端な表現 に分かれます。
① 買わない理由ばかり考えてしまう “弱気キャッチ”
- 言い訳っぽい
- 自信がない
- 弱みから入る
- 守りの表現になる
これは、
「お客様にどう思われるか不安」
「強みが言語化できていない」
という 内側の弱さ から来る。
② 自分の価値が見えず、逆に“変な自慢キャッチ”が出る
- 強がった言い回し
- 大げさな断定
- トゲのある表現
- 内容の薄い“すごいアピール”
- そして極めつけは“どこかで見た意味不明なコピー”
(良く見せたい気持ちだけで作った“中身ゼロのフレーズ”)
こうしたコピーは、
実は “価値の翻訳に失敗した結果うまれる強がり”。
不思議なことに、
こういう会社ほど実際には謙虚で、
自分の強みをきちんと整理できていないことが多い。
つまり、
本当は“弱気”なのに、
自信満々のコピーが出てしまうという逆行動。
結論:両極端でも原因はひとつ
弱気キャッチも、
変な自慢キャッチも、
どこかで見た意味不明なコピーも、
まったく別の症状に見えて——
原因は同じ。「買う理由」が翻訳されていない。
だからこそ、
- 自慢でもない
- 言い訳でもない
- 強がりでもない
- 真似でもない
“本物の買う理由” を最初に言語化することが、
ページの質を一瞬で変える。
【まとめ】
買う理由を知らないと、
キャッチは「弱気」か「強がり」か「どこかで見た謎コピー」の
どれかに転ぶ。
どれも『なんか違う』に直行する。
顧客の“判断プロセス”に合わせて構成する
ホームページは「会社の説明の順番」ではなく
“お客様がどう判断するかの順番” で作るだけで、
伝わり方がまったく変わります。
お客様は、感覚的にスクロールしているように見えて—
実は 3つのステップで判断している。
① ステップ1:理解(これは何? 自分に関係ある?)
最初の判断はとてもシンプル。
- 何のサービスか
- 誰向けか
- 自分に関係あるか
- 読む価値があるか
この段階で迷わせると即離脱。
ファーストビュー〜2画面目までで
“読む理由 × 安心” を与えるのはこのため。
② ステップ2:比較(他とどう違う? 選ぶ理由ある?)
次にお客様が行うのは 比較。
比較するとき、必ずこの順番で見ています。
- 価値(メリット・強み)
- 根拠(実績・事例)
- リスク(失敗・不安)
ここで 買う理由が見えないページは負ける。
“技術の話” だけしても比較には勝てないのはこのため。
比較の基準に合わせて構成すると、
「攻めるページ」から「選ばれるページ」になる。
③ ステップ3:確信(この会社で失敗しない? 後悔しない?)
最後に確認するのは、
- 価格の妥当性
- 失敗リスクがないか
- 問い合わせして大丈夫か
- 変な会社じゃないか
つまり、
“買わない理由(不安)を消せるか” が最終決断のカギ。
FAQ ・保証・事例の置き方だけで
問い合わせ率が大きく変わるのはこの段階のため。
まとめ:ページは「会社の都合」ではなく「顧客の判断順」で作る
H2-1:関係あると気づく
H2-2:買う理由がわかる
H2-3:比較に勝てる設計になる
その後に“不安の解消”へ進む
お客様の判断プロセスに合わせるだけで、
ページは自然と “迷わない導線” に変わる。
「お客様は“読む”んじゃない。“判断”しているだけ。」
“買わない理由”の消し方:不安の先回り設計
どれだけ魅力があっても、
どれだけ素晴らしい強みがあっても、
最後にお客様が決めるのは 不安があるかどうか。
つまり、
問い合わせボタンを押す瞬間の判断は
“期待”ではなく“不安の有無”。
ここを抑えると、問い合わせは劇的に増える。
① お客様が不安になる“典型ポイント”は決まっている
お客様が離脱する不安は、業界を越えてほぼ共通。
- 価格の妥当性
- 失敗したらどうしよう
- 本当に自分に合う?
- 変な会社では?
- 断りづらくなりそう
- しつこく営業されそう
- 専門用語が多くて怖い
- なんか信用できない…
企業は “こだわり” を語るけれど、
お客様は “リスク” を見ている。
このズレが離脱を生む。
② ほとんどの会社は“不安の先回り”をしていない
ページの最後にある曖昧なFAQでは、
不安は消えません。
弱みは言わない
デメリットは隠す
価格の話は後ろに入れる
言いづらいことは曖昧にする
こういう企業ほど、お客様の頭の中では
“勝手に不安が増えていく”。
不安は、書かないと消えない。
むしろ“書かない方が大きくなる”のが現実。
③ 比較される瞬間を“設計する”という考え方
お客様は 必ず比較する。
比較される瞬間とは、
- Googleで別タブを開く
- 口コミを読む
- サービス名で検索し直す
- 値段だけ順に並べて見てみる
この“比較の瞬間”に、
不安を消しきれていない会社は確実に負ける。
だからこそ、意図的にこう設計する。
- 他社との違い
- 強みの根拠
- 弱みの正直な説明
- 価格が高く見える理由
- 失敗しないための保証
- よくある不安の回答
不安の先回りが「比較で負けない構造」そのもの。
④ 価格の不安は“説明不足”から生まれる
価格は高いから離脱されるのではなく、
理由がわからないと不安になるだけ。
- なぜこの価格なのか
- どういう価値が入っているのか
- 選んではいけない人はどんな人か
- 比較すると何が違うのか
こうした情報で「納得」を作ってあげると、
価格に対する不安はほぼ消える。
⑤ お客様は“不安を嫌うのに、説明は読まない”という矛盾を持っている
お客様は、不安を感じた瞬間に離脱します。
でも、不安を丁寧に確認して消そうとは 絶対にしない。
だからページ側が
“不安の先回り” をしてあげない限り、
そもそも読んでもらえません。
特に女性は、最後の決断を
「なんか」 で行います。
- なんか安心
- なんかいい
- なんか怖くない
- なんか“かわいい” ← 最強の決め手
この “なんかかわいい” は、
商品・サービスではなく、
“全体の雰囲気や空気” に対して湧く感情。
そして、今のZ世代の男性は
女性の購買心理にとても近く、
「かわいい(心地いい)」が決め手になる新しい購買層
に変化している。
つまり、
不安は嫌うのに、説明は読まない。
だからページ全体の“空気”で安心とかわいさをつくるのが最強。
