【基礎編・考え方2】表現する ⇒ 伝える ⇒ 伝わったか - この3つを混同すると、Webは必ず失敗します -

「ちゃんと伝えたはずなのに、伝わっていない
仕事をしていると、こんな場面に何度も出会います。

時間をかけて考えた。
言葉も選んだ。
デザインも整えた。

それなのに、

  • 問い合わせが来ない
  • 反応がない
  • 思っていた 受け取られ方と違う

これは、努力不足の問題ではありません。
多くの場合、この段階を混同しているだけです。

目次

表現する、とは何か

「表現する」という言葉は、とても都合がいい言葉です。

想いを込めた。
好きな世界観を出した。
自分たちらしさを表した。

そう言われると、
それ以上、何も言えなくなってしまう。

でも実務の現場で見ていると、
「表現する」という言葉の中に、
考えることを放棄してしまっているケースが少なくありません。

相手が誰か。
どんな状況で見るのか。
何を知りたくて、どこで迷うのか。

そうしたことを深く考えないまま、
自分が言いたいことを、
そのまま外に出しているだけ。
それでも「表現した」と言えてしまう。

本来、表現は自由な行為です。
制限されるものでも、正解があるものでもありません。

ただし仕事の場では、
相手の存在をまったく考えずに行えば、
それはただの独り言になります。

表現そのものが悪いわけではありません。
でも、

表現した = 伝えた
表現した = 伝わる

と考えてしまうと、
ここで止まってしまいます。

「表現する」は、
あくまで自分側の行為
相手がどう受け取ったかは、
この時点では、まだ何も分かっていません。

つまり、

表現する = 自分起点

です。

伝える、とは何か

一方で、「伝える」は少し違います。

  • 相手が理解できる前提に立つ
  • 言葉を整理する
  • 順番を考える
  • 余計な情報を削る

ここでは、
自分が言いたいことよりも
相手がどう受け取るかが基準になります。

伝える = 相手起点

だからです。

表現しただけでは、
伝えたことにはなりません。

だから、簡単ではありません。
でも、その分だけ、
とても誠実で、優しい行為だと思います。

でも「伝える」ことは、
実際の会話では、正直に言ってとても難しい行為です。

相手の反応を見ながら話せるとはいえ、
そこまで細かく配慮しきれないことが多いです。
言い直したり、補足したりしながら、
その場で調整していくしかありません。

でも、
Webや紙媒体の言葉は違います。

書いた言葉は、
あとから補足することができない。
相手の表情を見て、言い換えることもできない。

だからこそ、

書く言葉には、
会話以上の配慮が必要だと考えています。

誰が読むのか。
どこで迷うのか。
どんな前提で考えているのか。

そこまで想像して、
初めて「伝える」に近づきます。

「伝えた」と「伝わった」は別物

ここが、一番混同されやすいところです。

  • 書いた
  • 説明した
  • 言った

それで終わってしまうと、
「伝えたつもり」になります。

でも、

  • 相手が理解できたか
  • 判断できたか
  • 行動できたか

ここまでいって、
初めて 「伝わった」 と言えます。

伝わったかどうかは、
相手の反応でしか測れません。

なぜ「伝わったか」を確認しないのか

実務で見ていると、
「伝わったか」を確認しない理由はシンプルで、
多くの場合…

  • 忙しいから
  • 余裕がないから

という以前に、
そこまで考えていないことがほとんどです。

Webサイトや紙媒体を制作する場合でも、
表現した。
言葉を書いた。
一通り説明もした。

それで、
「もう十分だろう」と
無意識に区切りをつけてしまいます。

でも実際には、
ここを確認しないことで、

  • 手戻りが増える
  • 誤解が広がる
  • 伝え直しが何度も発生する

という、
もっと大きなコストがかかっています。

仕事として必要なのは、どこか

整理すると、こうなります。

  • 表現する → 大切
  • 伝える → 必須
  • 伝わったか → 仕事の成果

仕事として成果を出すなら、
「伝えた」では終われません。

「伝わったか」まで責任を持つ
ここが、プロの領域です。

Webや紙媒体の場合は、
「伝わったか」を確認する手段があります。

それが、問い合わせや購入などの
行動(CV)です。

反応がない、迷われている、途中で離脱している。
それは「表現が悪い」のではなく、
どこかで伝わっていないというサインでもあります。

多くの人は「言ってみた」で止まっている

実務で見ていると、
ほとんどの方が、

表現する(言ってみた)

ところで止まっています。

きれいな言葉を書いた。
想いも込めた。
世界観も表現した。

でも、その先の
「どう受け取られたか」までは
確認していない。

ネットの中は「メディア」ではなく「お店」「会社」

特にネットの中では、
この問題が起きやすくなります。

雑誌や広告と違って、
ホームページやネットショップは、

お店であり、会社そのものです。

本来なら、

  • 来てくださった方に
  • 話しかけて
  • 状況を見て
  • 案内する

つまり、接客が必要な場所。

それなのに実際には、

言葉を投げて
「あとは受け取ってください」

という状態になっているケースが
とても多いと感じています。

表現と接客は、別のもの

それは、
表現ではあっても、
接客にはなっていません。

ネットの中でも、

  • 相手の立場を想像して
  • 迷いそうなところを先回りして
  • 判断しやすく整える

ここまでして、
初めて「伝わった」に近づきます。

まとめ:次につながる話

表現することは、悪くありません。
でも、仕事として成果を出すなら、

表現する ⇒ 伝える ⇒ 伝わったか

この3段階を、
きちんと分けて考える必要があります。

この違いは、
キャッチコピーや最初の一言
はっきり表れます。

次の記事では、
なぜ「いい言葉を書いたのに伝わらないのか」を、
キャッチコピーの視点から整理していきます。

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