【基礎編・考え方10】なぜ「主役はお客様」が、経営・ブランドの大原則なのか - 多くの経営者が勘違いしやすいこと

「お客様が主役です」
経営やブランディングの現場では、よく聞く言葉です。

実際、多くの経営者やスタッフは、
「もちろん、お客様目線で考えています」と言います。

でも、現場で長く仕事をしてきて、
ずっと違和感を覚えていました。

本当に、お客様が主役になっているだろうか。

目次

「お客様が主役」は、言っただけでは定着しない

以前、とくにネットショップの会社では、
企画会議の最初に、必ずこう伝えていました。

「この企画は、お客様が主役です」

そのうえで、スタッフの方たちに企画を考えてもらう。
最初は、ちゃんとお客様を意識した意見が出てきます。

ところが、話が進むにつれて、
少しずつ言葉の主語が変わっていくのです。

「私たちが伝えたいのは」
「うちとしては」
「この商品は、私たち的に」

そのたびに、軌道修正を入れます。

「それは、誰のための企画ですか?」

このやり取りを、
一年近く、繰り返しました。

それでも、しばらくすると、また元に戻る。

これは、誰かが悪いわけでも、
教え方が足りなかったわけでもありません。

人は、放っておくと必ず「自分たち側」に戻る。
それが、現実でした。

それでも「お客様になる」ことをやめなかった

それでも、
「お客様を知る」ことを諦めませんでした。

たとえば、経営者と一緒に
某有名デパートに何度も行っていました。

接客の距離感、声のかけ方、
売り場の空気、見送られ方。

資料では説明できないことを、
身体で感じてもらうためです。

また、経営者の方にお願いして、
こんなことも続けてもらいました。

月に一度、
予算を決めて、
売上の高い有名なネットショップで
「おやつ」を購入する。

実際に、

  • 探す
  • 比べる
  • 迷う
  • 支払う
  • 届くのを待つ

この一連を体験してもらうのです。

すると、毎回こんな声が出ます。

「対応がすごくいいですね」
「これは勉強になりますね」

実感として、
売ることよりも、買うことのほうが、学びは多い
と感じていました。

ネットでは「探す側」のほうが、すでにプロ

ネットショップの世界では、
よくこんな勘違いがあります。

「うちは商品を一番よく知っている」

それは、製品やサービスについては正しい。
でも、ネットの中では話が違います。

ネットショップでは、
お店よりも、お客様のほうがプロです。

なぜなら、

  • 買い物回数が圧倒的に多い
  • 比較経験が豊富
  • レビューを読み慣れている
  • 失敗も成功も体験している

買い物回数が、すでに1000回以上を超えている方は、
ネットユーザーの中ではたくさんいます。
常に真剣に商品を探しているのですから、
視点の深さが違います。

またこれは、
普通のホームページでも同じです。

何かを探している人は、

  • 比較サイトを見る
  • レビューを読む
  • SNSも検索する

公式サイトは、
「最初に見る場所」ではなく、
答え合わせの場所になっていることも多い。

製品やサービスの専門家でなくても、
「ネットで探すこと」に関しては、
お客様のほうが圧倒的に慣れている。

この前提を外すと、
すべてがズレ始めます。

たぶん、あなたもやっていますね…
検索して、クリックして、
すぐに別のページへ戻る。
それを何度も繰り返す…

ということは、あなた自身も、
すでに同じことを「やられている」側です。

お金は「払う側」のほうが、真剣でシビア

もうひとつ、
忘れられがちな視点があります。

お金は、もらうときよりも、
払うときのほうが真剣です。
これは、誰でもそうです。

会社側は、

  • 売上
  • 目標
  • KPI

として、お金を見ます。

でもお客様は、

  • 自分のお金
  • 自分の判断
  • 自分の失敗

すべて、自己責任です。

だから、お客様は
会社が思っている以上に、
静かに、シビアに、見ています。

声に出さず、
説明も求めず、
ただ選ばない。

それが、現実です。

中小企業こそ、前提を間違えると致命的になる

この話は、
中小企業にとって、特に重要です。

大企業のように、

  • 知名度がある
  • ブランドで選ばれる
  • 広告で補える

そういった前提がありません。

だから、

「説明すればわかってもらえる」
「想いを語れば伝わる」

この考え方は、
ほとんど通用しません。

最初から、
選ばれる前提で考えていなければ、
そもそも比較の土俵に上がれません。

中小企業ほど、
お客様の判断基準に、
正面から向き合う必要があります。

「主役を決める」のではなく、現実として受け止める

「お客様が主役」という言葉は、
きれいな理想ではありません。

優しさの話でも、
姿勢の話でもありません。

すでに、判断権と主導権は
お客様の側にある。

その現実を、
どう受け止めるか、という話です。

主役を譲るかどうか、ではなく、
すでに主役なのだと認められるか。

それだけの違いだと、考えています。

では、実際に「お客様が主役」になる設計とは、
どこから手をつければいいのか。
それは、また別の話になります。

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