
ブランディングやマーケティングの話をすると、
必ず出てくる言葉があります。
それが「ターゲット」と「ペルソナ」です。
多くの解説では、
「まずターゲットを決めましょう」
「次にペルソナを設定しましょう」
と、ほぼ“前提条件”のように語られています。
たしかに、この2つの言葉は重要です。
ただし…
言葉を知っていることと、使えているかは別のことだと思います。
まず基本をきちんと整理し、
その上で「現場ではどうなるのか?」という視点から考えてみましょう。
ターゲットとは?
ターゲットとは、
商品やサービスを考えるときに、
「主に誰に向けて話すのか」を
大まかに整理する考え方です。
年齢、性別、職業、立場、地域、状況など、
いくつかの条件を組み合わせて
「このあたりの人たちに向けて発信する」という
方向性を定めます。
これは、誰かを排除するためではなく、
話の前提をそろえ、
判断や検討を進めやすくするためのものです。
一般的には、
ターゲットマーケティングは
「市場を分ける → 対象を選ぶ → 立ち位置を決める → 人物像を想定する」
という流れで説明されることが多いです。
ターゲットを決める目的は、
すべての人に向けて話そうとして、誰にも届かなくなる
という状態を避けるためです。
地図で例えるなら、
ターゲットは「エリア」を決める行為に近いものです。
ペルソナとは?
ペルソナマーケティングとは、
商品やサービスを考えるときに、
「どんな人を想定して話すのか」を
できるだけ具体的にイメージする考え方です。
年齢や職業、生活の様子、
どんなことで悩み、何を大切にしていそうかなどを
一人の人物像として整理します。
これは、実在の誰かを決めつけるためではなく、
社内で考え方をそろえたり、
「この人に向けたらどうなるか?」と
話を進めやすくするための補助線です。
漠然とした「ターゲット」よりも、
考える材料を具体にすることで、
施策や表現のズレを減らすことができます。
また、年齢や性別などの属性だけでなく、
- どんな悩みを持っているか
- 何を基準に判断するか
- どんな不安を感じやすいか
- どんな言葉に反応するか
といった部分まで想定し、
「この人に向けて説明するとしたら?」
という視点を持つために使われます。
ペルソナの目的は、
表現や伝え方を具体的にし、
独り言にならない文章を書くことです。
同じく地図で例えるなら、
ペルソナは「想定ルート」に近い存在です。
ターゲットとペルソナの違い
ここまでを整理すると、
違いはとてもシンプルです。
- ターゲット:範囲を決める
- ペルソナ:伝え方を考える
ターゲットやペルソナは、
売るため・伝えるための手段であって、
それ自体がゴールではありません。
でも実際は、
決めたことで安心して、
そこで思考が止まってしまうことも多いです。
ここからが、実際の現場での話です
ここで一度、視点を変えて実際の現場では、
ターゲット、ペルソナを決めたとしても、
人はこちらの思ったようには動いてくれないという事実が出てきます。
たとえば、
- 自分は好きではない商品を、贈り物として買う人
- 子ども向けの商品を選んでいるのは、大人
→親だけでなく、祖父母、友達などのギフト需要も - 男性向けの商品を、女性が選ぶ場面
→女性がパートナーの服を選ぶことが多い - 想定していなかった層から届く問い合わせ
こうしたことは、決して珍しくありません。
つまり現実では、
ターゲットもペルソナも、簡単に横断されるのです。
ここで、よくある相談を一つ挙げます。
「ターゲットを決めてアプローチしているのに、
問い合わせが来ない」
こんなときに最初に考えるのは、
ターゲットを見直すことではありません。
とくにWebサイトの場合、先に見るのは、ここです。
- 問い合わせは、一ヶ月に何件ありますか
- トップページを開いて
→これ、誰向けのものかわかりますか - サービス説明を読んで
→何を頼んだらいいか、すぐにわかりますか - 問い合わせページを見て
→連絡したいと思えますか - また、問い合わせフォームを開いたとき
→「記入が面倒だな」と感じさせてませんか - 実際に、どのページが良く見られていますか
上記を見たうえで、
「想定していたターゲットと、実際の動きにズレがないか」
を確認します。
ズレが見えたら、
そこで初めて言葉や伝え方を少しずつ直します。
これが、いわゆるブラッシュアップ作業です。
たとえば、カニを買う人をペルソナしてみると…
よくある前提として、
「カニ好きな人が買うもの」
と思われがちです。
でも現実は、かなり違います。
実際には、
カニアレルギーの人でも、カニを買います。
それは、
→自分で食べるためではなく、
誰かに贈るためだったりします。
ここで起きているのは、
「使う人」と「選ぶ人」が違う、というあたりまえの現実です。
ペルソナだけを想定してたら…
もし仮に、
「カニが好きな、ゆとりのある30〜60代男性」
というペルソナだけを想定していたら、
この購買行動は想定外になります。
※実際には、こんな単純な想定はありえないのですが…
ですが、現実の売上には、
こうした“想定外”のお客様がかなり多く含まれています。
つまり、
人は、自分の属性どおりには買わない
ということです。
だから、自分たちの考えを随時アップデートしていくこと
お客様は、
最初に想定した枠の中だけではなく、
思いもよらないところからどんどん増えていきます。
ですので、最初から ターゲットやペルソナを
細かく決め切る必要はないと考えます。
あいまいでいいし、どんどん変化していいと思います。
それよりも大切なのは、
実際に起きている行動を、きちんと見て、
自分たちの考えを随時アップデートしていくことです。
その際にぜひ活用していただきたいのが、
ネットのレビューや問い合わせなどの内容です。
何気ない お客様の一言の中には、
こちらが想定していなかった選ぶ理由や使われ方が、
いくつも見つかります。
ターゲットやペルソナは安心するための材料ではなく、
実際におきているお客様の動きを整理するための
道具と考えてください。
最初に決めて終わり、ではなく、
あとから何度でも更新していく方が、
現実には、うまくいくことが多いのです。
事実として起きているお客様の行動を見る
見ているのは、
- 実際に誰が買ったのか
- どんな理由で選ばれたのか
- どこで迷い、どこで決断したのか
こうした事実として起きている行動です。
あとから振り返ると、
「結果的に、こういう人たちに届いていた」
という形で、ターゲット像が見えてくることはあります。
でもそれは、
決めたから当たったのではなく、
たまたま起きたことも含めての結果です。
最初に決めつけない、状況を見ながら出してもOK
私自身は… 最初から正解を決めません。
ペルソナもターゲットも考えずに企画を書いてしまいます。
そのときに、やっていることは、とても単純です。
- 明確な想定はしない
- とりあえずたくさん出す
※箇条書きで書いておく - 来た人・反応した人を詳細に観察する
※レビュー、問い合わせ など - 共通点をあとから抜く
- 常に更新しつづける
たくさん考えるのではなく、
さくっと出して、反応を見てから整理をします。
また、実際に企画などを書き始めると、
「これは違うな」「これいいかも」が見えてきます。
考えるよりもまとめてみることがお勧めです。
一度で答えを出さなければいけないと思わずに
何度も繰り返しながら、どんどん新しいお客様像を増やしていく…
御社の大切な商品、サービスならば その価値はあると思います。
まとめ:ターゲット・ペルソナについて
- ターゲットとペルソナはお客様を考える「道具」
- 決めることがそのものが目的ではない
- 現実の行動を無視せず、しっかり追いかけ続ける
- 最初の想定よりも、現実に起こってることを見る
そして、常にお客様の声を聴き続けることで、
考えを見直し続けていく。
これができるようになると、
ブランディングやマーケティングも
ずっと楽になります。
そして、
あなた自身のお客様の見方も、
どんどん変わっていきます。
