
Webデザインの配色は「好きな色を選ぶ」より先に、
誘目性(目を引く)と視認性(読める/見つけられる)を
分けて考えると失敗が減ります。
たとえば、バナーは目を引けばOKではなく、
押してほしいボタンが“すぐ読めて、すぐ見つかる”ことが成果に直結します。
誘目性(ゆうもくせい)とは、目を引く力のことです。
視認性(しにんせい)とは、無理なく読めるかどうかを指します。
この2つは、デザインやマーケティングで重要な要素です。
Webデザインにおける「誘目性」と「視認性」の違い
Webデザインでよく混同されがちなのが、
誘目性と視認性の違いです。
- 誘目性:目を引くこと(気づかせる力)
- 視認性:内容がはっきり読めること(理解できる力)
デザインでは、
「目立つ=良い」「派手=伝わる」と思われがちですが、
Webではこの2つを切り分けて考えないと、
見られているのに成果が出ないページになりやすくなります。
誘目性とは|「気づかせる」ための要素
誘目性とは、
ユーザーの視線を最初に引きつける力のことです。
代表的な要素には、
- 強い色
- コントラストのある配色
- 目立つ位置
- 大きさや余白の差
などがあります。
注意点として、
誘目性は「使いすぎると逆効果」です。
ページ全体が派手だと、
どこを見ればいいのか分からず、
結果的に重要な情報が埋もれてしまいます。
視認性とは|「読める・理解できる」ための要素
視認性は、
文字や情報が無理なく読めるかどうかを指します。
- 文字サイズ
- 行間
- 文字色と背景色の明度差
- 情報量
これらが適切でないと、
どれだけ目立っていても
内容が頭に入らないページになります。
Webでは特に、
- スマホ
- 屋外
- 年齢差(40代以降)
といった条件で視認性が大きく左右されます。
Webでよくある失敗例(誘目性と視認性のズレ)
目立つけど読めない
- 鮮やかな背景色
- 細い白文字
- 明るさの差が少ない配色
→ 目は行くが、内容は読まれない
読めるけど見つからない
- 全体が同じトーン
- ボタンやリンクが埋もれている
→ 情報はあるのに、行動されない
Webでは
「まず読める」→「次に目立たせる」
この順番が重要です。
Webで迷ったら、この順番で考える(実務向け)
① まず視認性を確保する
- 文字と背景の明度差をしっかり取る
- 小さな文字ほどコントラストを強める
② 次に誘目性を足す
- 強い色はポイント使いに限定
- ボタン・注意喚起など「行動してほしい場所」に絞る
③ 最後に色の意味で整える
- 青=信頼、赤=注意 などは補助的に考える
- 印象よりも「読める・迷わない」を優先する
Webデザインで本当に大切なのは「探させないこと」
ユーザーは、
デザインを楽しむためにサイトを見るわけではありません。
- 情報を知りたい
- 申し込みたい
- 判断したい
そのために訪れています。
だからこそ、
探さなくても分かる配色・構成が
成果につながります。
誘目性は「気づかせるため」、
視認性は「理解させるため」。
この役割を分けて考えるだけで、
Webデザインの失敗は大きく減らせます。
視認性が最優先される場面では、色の役割が明確
この図では、
視認性が最優先される場面では、
色の役割が明確に決まっている
ということを示しています。

たとえば、道路標識。
ここでは「おしゃれ」や「世界観」よりも、
一瞬で認識できることが絶対条件です。
- 赤:危険・注意・止まれ
- 黄:警告・注意喚起
- 青:案内・指示
どれも、
強い色 × 高いコントラストで設計されています。
なぜなら、
人は運転中に「考えて色を読む」余裕がないからです。
SALE表示も、考え方は同じ
SALEやキャンペーン表示も、
役割は道路標識とよく似ています。
- 一瞬で気づかせる
- 迷わせない
- 他の情報に負けない
そのため、
赤やオレンジなどの強い色が使われやすいのです。
もしSALE表示を
・くすんだ色
・背景と近い色
で作ってしまうと、
存在していないのと同じになります。
重要なポイント
ただし、
強い色は使う場所が決まっているという点が重要です。
- 道路標識:命に関わる → 強くてOK
- SALE:行動を促したい → 強くてOK
- 文章・背景・全体配色:強すぎると逆効果
つまり、
視認性が必要な場所にだけ、強い色を使う。
これが、
Webデザインで
「誘目性と視認性」を使い分ける基本です。
強い色は、特別な役割を持つ場所のためにあります。
すべてを目立たせようとすると、
何も伝わらなくなります。
「形」より先に「色」が認識される理由
人は、ものを認識するとき、「形」よりも先に「色」を見ています
たとえば、洋服を探すとき。
私たちは無意識に、
「この形がいい」より先に
「青が好き」「黒は避けたい」といった
色の条件で選別しています。
これは好みの話ではなく、
人間の視覚の仕組みによるものです。

人は「色 → 形 → 内容」の順で理解する
視覚情報は、
まず 色や明るさ として捉えられ、
そのあとで 形や意味 が認識されます。
だからWebサイトや紙媒体でも、
- 色で「気づく」
- 形で「何かを理解する」
- 文字で「内容を読む」
という順番が自然に起きています。
デザインで色が軽視されると起きること
配色が曖昧なデザインでは、
いくらレイアウトや形が整っていても、
- どこを見ればいいか分からない
- 重要な情報が目に入らない
- 読む前に疲れてしまう
といった状態が起こります。
つまり、
色で整理されていないデザインは、
形がどれだけ良くても機能しないのです。
だから「色」は装飾ではない
色は、
「きれいに見せるための装飾」ではなく、
情報の入口です。
どの色を、どこに、どれくらい使うかで、
ユーザーが
「何を先に理解するか」まで決まります。
デザインは、形を考える前に
「何色として認識されるか」を
先に設計する必要があります。
(まとめ)誘目性より先に、視認性を
Webデザインでは、
「目立たせること」よりも
「無理なく読めること」が優先です。
視認性が整ったうえで、
必要な場所だけに誘目性を足す。
この順番を守ることが、
ユーザーにも、成果にもやさしい配色につながります。
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(執筆者:ころまるん)




