
高級感のある色づかいは、多くのデザイナーが一度は悩むテーマです。
「なんとなく高そうな色」を選んでいるのに、
なぜか安っぽく見えてしまう。
その理由は、色の知識やセンス以前のところにあります。
このページでは、
高級感がなぜ難しいのかを、
デザインの視点から整理していきます。
はじめに|高級感のある色は「センスの問題」ではない
「高級感のある色がわからない」
これは、デザイナーが一番つまずくところです。
でも、最初に言っておきたいことがあります。
高級感は、センスの問題ではありません。
- 色を知らないから
- 経験が足りないから
- 感覚がないから
そういう理由で失敗しているわけではないです。
実は多くの場合、
「色そのものだけを見てしまっている」
ここがズレの始まりです。
高級感が出ない理由①|色を“単体”で選んでいる
初心者の多くは、こう考えます。
- この色、きれい
- この色、高そう
- ゴールドっぽいから高級そう
でも、高級感は
色ひとつでは成立しません。
高級感とは
「色 × 関係性」 です。
- 隣にどんな色があるか
- 面積はどれくらいか
- 文字なのか、背景なのか
- 白の余白はちょうどいいか
この「関係」が整ったときにだけ、
はじめて高級感は立ち上がります。
だから
「いい色を選んだはずなのに、安っぽい」
という現象が起きる。
それは、
色が悪いのではなく、置き方が間違っている だけです。
高級感が出ない理由②|色を“足して”しまう
もうひとつ、よくある失敗があります。
高級にしたい
↓
色を増やす
↓
情報量が多くなる
↓
逆に安く見える
これは本当によく起きます。
高級感のあるデザインほど、
色数は少なめになります。
理由は単純で、
- 情報が少ない
- 迷いがない
- 意図がはっきりしている
こういう状態は、人に
「余裕」「自信」「格」 を感じさせるからです。
だから色を足すほど、高級から遠ざかる。
これは覚えておいてほしいポイントです。
高級感が出ない理由③|「きれい」と「上品」を混同している
これも大事なところ。
- きれいな色
- 映える色
- 明るい色
これらは、
必ずしも高級ではありません。
高級感に必要なのは、
- 彩度を落とす
- コントラストを抑える
- 主張しすぎない
つまり
「一歩引いた色」 です。
色が前に出すぎると、
どうしても「安さ」が出ます。
高級感は、
気づかれないぐらいがちょうどいい。
和の色は、なぜ高級感を出しやすいのか
ここで、和の色の話をします。
日本の伝統色には、こんな特徴があります。
- もともと彩度が低い
- 自然由来(土・植物・布)
- 名前より「空気感」で存在している
たとえば、こんな色があります
- 墨色
- 抹茶色
- 柿色
- 藍
- 生成り
- 利休茶
これらは
「主張しないけど、軽くない」。
だから、
何もしなくても“品”が出やすい。
初心者が高級感を扱うなら、
まずは和の色から始めるのは、とても合理的です。
まとめ|高級感は「色選び」ではなく「態度」
高級感のある色づかいとは、
- 目立たせない勇気
- 減らす判断
- 引き算を信じること
つまり、
デザインに対する態度 です。
色を変えれば高級になるわけじゃない。
考え方が変わったとき、色も変わる。
この感覚がつかめてくると、
デザインは一気に安定します。
次は、
なぜマーケ視点が入ると、色の判断が変わるのか?
→高級感を“ブランディング、マーケティング”から書いた記事はこちら
