高級感のある色は、なぜ難しいのか【ブランディング・マーケティング編】

→“デザイン視点”から書いた記事はこちら

「高級感のある色がわからない」という悩みは、
デザインの問題として語られることが多いものです。
けれど実際には、その前段階でつまずいているケースがほとんどです。

このページでは、
色やデザインの話に入る前に、
ブランディング・マーケティングの視点から見た
「高級感の難しさ」を整理していきます。

目次

高級感は「色の問題」ではない

高級感が出ないとき、
多くの場合、原因は色そのものにあると思われがちです。

「この色が安っぽいのではないか」
「もっと落ち着いた色にすればよかったのではないか」

けれど実際には、
色はただ“表に出てきただけ” の存在です。

高級感とは、
デザイン技術や色彩知識の問題ではなく、
ブランドとして、どこに立っているか
その判断が、にじみ出た結果です。

色は原因ではなく、
常に「結果」として現れます。

ブランドの軸が弱いほど、色に期待しすぎる

「高級感を出したい」という相談の多くは、
よくよく話を聞いていくと、
別の不安を抱えています。

  • 競合との違いを説明できない
  • 価格に自信が持てない
  • 誰に向けた商売なのかが曖昧

こうした状態のまま、
「せめて見た目だけでも…」と
色に期待してしまう。

しかし、
ブランドの軸が弱いときほど、
色は逆効果になります。

中身が定まっていない状態で選ばれた色は、
見る人に
迷い・不安・無理をしている感じ
をそのまま伝えてしまうからです。

色は、
ブランドの代役にはなれません。

「なんか高級にして」は判断の放棄である

経営者や担当者が、
デザイナーに向けてよく使う言葉があります。

「なんか高級にしてほしい」
「ちょっと上品な感じで」

一見、柔らかい要望に見えますが、
これは要望ではありません。

判断を放棄している状態です。

  • 誰に向けた高級感なのか
  • どこまで価格を上げたいのか
  • 競合とどう違って見せたいのか

これらを決めないまま、
表現だけを求めると、
色もデザインも迷走します。

結果として起きるのは、
「なんとなく高そうだけど、何の会社かわからない」
という状態です。

高級感とは「選ぶこと」ではなく「捨てること」

高級感のあるブランドには、
共通点があります。

それは、
全員に好かれようとしていない ことです。

  • 安さを求める人は来なくていい
  • 合わない人がいるのは当然
  • 選ばれなくても構わない

この覚悟が、
言葉や価格、態度に表れ、
最終的に色にも表れます。

高級感は、
足し算では生まれません。

「これをやらない」
「この層は狙わない」
という判断の積み重ねが、
結果として高級に見せているだけです。

色で高級感を出そうとすると、必ず無理が出る

ブランドの判断が固まっていない状態で、
色だけを整えようとすると、
必ずどこかに無理が出ます。

  • 色は落ち着いているのに、言葉が軽い
  • 見た目は高級なのに、価格が安い
  • 写真は上品なのに、接客が雑

こうしたズレは、
見る人に違和感として伝わります。

その違和感が、
「なんとなく信用できない」
「よくわからない会社」
という印象につながります。

色は、ブランドの最終アウトプットである

色は、
ブランディングやマーケティングの
最終段階にあります。

先に決めるべきなのは、

  • どんな立場のブランドなのか
  • 誰に選ばれ、誰に選ばれなくていいのか
  • どんな言葉で語るのか
  • どんな態度で商売をするのか

これらが揃ってはじめて、
色は自然に決まります。

色から始めた時点で、
もう「難しい状態」に入っているのです。

まとめ

高級感のある色が難しいのは、
色が特別だからではありません。

ブランドとして、決めきれていないことが多すぎる。
それが、色にそのまま表れているだけです。

このページに、
具体的な色の正解はありません。

けれど、
判断から逃げない限り、
色は必ず整っていきます。

高級感とは、
表現の問題ではなく、
姿勢の問題なのです。

なぜ高級感のある色は難しいのか?
→“デザイン視点”から書いた記事はこちら

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