可読性とは何か -読まれない前提で設計する、7つの考え方

人は、読み飛ばす生き物です
それでも伝えたいなら、油断はしないでください

Webの文章は、
基本的に 読まれません。

これは意地悪な言い方でも、
デザイナーを否定する話でもありません。
ただの事実です

人は、

  • スクロールしながら
  • 必要そうなところだけを拾い
  • 関係なさそうだと思った瞬間に飛ばします。

だからこそ、
「ちゃんと書いたから伝わる」
「丁寧に説明したから大丈夫」
という考え方は、Webではほぼ通用しません。

目次

「可読性(かどくせい)が大事」という話だけでは物足りないです

可読性という言葉は、
とても便利で、やさしい響きがあります。

でも私は、
それだけで終わってしまう可読性の話
ずっと違和感を持ってきました。

なぜなら現場では、

  • 読みやすく整えたのに伝わらない
  • きれいなのに、問い合わせが来ない
  • 情報はあるのに、何が言いたいのかわからない

そんなページを、何度も見てきたからです。

人は「読まない」だから、設計が必要になる

まず前提として、
人は文章を読みません。

読むかどうかを決める前に、
目で「判断」しています。

  • ぱっと見て
  • 自分に関係あるかを判断し
  • なければ次へ行く

つまりWebの文章は、
読まれる前に、取捨選択されているのです。

ここで重要なのは、

読まれないこと自体が問題なのではない
読まれなくても「何も残らない」ことが問題

という点です。

可読性とは「やさしさ」ではありません

私は、可読性を
「親切に書くこと」
「やさしい文章にすること」
だとは考えていません。

可読性とは、

読み飛ばされる前提で、
それでも伝えたい核心を残すための設計

です。

ここには、
文章力よりも先に、
意思が必要になります。

まず、これだけは決めてください

ページを作る前に、
デザインを考える前に、
文章を書く前に、

ひとつだけでいいので
決めてほしいことがあります。

このページで、
何を一番伝えたいのか?

全部を伝える必要はありません。
むしろ、全部伝えようとすると、
何も伝わりません。

可読性を前提にした「7つのポイント」

ここからは、
私がセミナーや実務で繰り返し伝えてきた
可読性の具体ポイントです。

ただし、
「テクニック集」としてではなく、
伝える意思を支える道具として読んでください。

① 数字を使う(特に見出し・キャッチ)

数字は、
人の視線を一瞬で止めます。

  • 7つのポイント
  • 3つの理由
  • 5分でわかる

これは煽りではなく、
情報の輪郭を瞬時に伝えるための工夫です。

読まれない前提だからこそ、
「ここには整理された情報がある」と
一目でわかる形が必要になります。

② 漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字を使い分ける

日本語は、
文字種そのものがデザインです。

  • 漢字:意味を強く伝える
  • ひらがな:やわらかく、流れを作る
  • カタカナ:注意を引く、区切る
  • ローマ字:概念・固有名詞を際立たせる

これは文章の装飾ではなく、
視線誘導の設計です。

③ 見出しは「内容」ではなく「判断材料」

見出しは、
本文の要約ではありません。

見出しの役割は、

読むか、飛ばすかを判断させること

です。

だから、
無難で説明的な見出しほど、
読み飛ばされます。

④ とにかく、見出しを強くする

  • 言葉を削る
  • 断言する
  • 迷わせない

見出しは、
文章の中で一番エネルギーを使う場所です。

ここで弱いと、
本文がどれだけ良くても読まれません。

⑤ 箇条書きを多様に使う

人は、
文章より先に「点」を拾います。

だから、

  • 箇条書きで要点を出す
  • そのあとに短い補足を書く

という構造が有効です。

箇条書きは、
手抜きではありません。
読む行為を軽くする設計です。

⑥ 情報を詰め込まず、区切る

1文に複数の意味を持たせると、
人は理解をやめます。

  • 1文1メッセージ
  • 1段落1テーマ

これは文章力ではなく、
相手の処理能力を前提にした設計です。

⑦ 「全部読まれない」前提で構成する

最後まで読まれないことを、
悲観しなくていいのです。

  • 冒頭で何を伝えるか
  • 見出しだけ見ても何が言いたいかわかるか
  • 途中でやめても誤解されないか

ここまで考えて、
初めて「可読性がある」と言えます。

可読性の正体は、技術ではありません

ここまで読んでいただいて、
お気づきかもしれません。

可読性とは、

  • センスでも
  • デザイン技法でも
  • 国語力でもなく

伝えたい意思を、
どう残すかという設計の話
です。

日本語は、そのままデザインになる

若い頃、外国の人に言われたことがあります。
「日本語は、とても美しい言語だね」と。

たとえば「生きがい」という言葉。
これを英語で説明しようとすると、
背景や感情を含めて、
数行かけてようやく近い意味になることが多い。

日本語には、
ひとつの言葉の中に、
意味・感情・余韻まで含んでしまう力があります。

さらに日本語は、
漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字という
4つの文字体系を使い分けることができます。

漢字で意味を立て、
ひらがなで流れをつくり、
カタカナで目を止め、
ローマ字で概念を際立たせる。

言葉そのものの豊かさに加えて、
リズムやアクセント、見た目まで設計できる。
これが、日本語がキャッチコピーに強い理由だと思います。

日本語は、
すべてを説明するための言語ではなく、
読み飛ばされる前提でも、何かを残せる言語です。

だからこそ、
何を伝えたいのかを決めた人にとって、
日本語はとてもやりやすく、
そして、とても強い。

可読性という言葉は、日本語だからこそ、ここまで深く語れるのだと思います

英語では「readability」や「usability」に分かれてしまう感覚も、
日本語の「可読性」には、
読む・伝わる・迷わない・行間を感じる、
そのすべてが含まれている。

文字そのものがデザインになり、
言葉の選び方が設計になる。
そして、ときには
読まなくても、伝わってしまう。

だから私は、
可読性を「読みやすさ」ではなく、
日本語で設計する力だと考えています。

Webと紙媒体では、読まれ方が違う

可読性を考えるとき、
Webと紙媒体は、同じ感覚で扱えません。

紙の本やパンフレットは、
手に取った時点で、
ある程度「読む気」がある状態から始まります。

もちろん全部を熟読してもらえるわけではありませんが、
Webに比べると、
視線は安定し、文章を追ってもらえる確率は高い。

紙媒体での読みやすさは、
行間や文字サイズ、行の長さなど、
読むことを邪魔しない設計が中心になります。

一方、Web、とくにスマホでは状況がまったく違います。

人は立ったまま、移動しながら、
片手でスクロールし、
必要かどうかを一瞬で判断します。

だからWebでは、
読む前に、読むかどうかが決められる。

見出しや構成だけを見て、意味が伝わらなければ、
その先は読まれません。

紙が「読んでもらう前提」なら、
Webは「読まれない前提」。

Webの可読性は、
文章のうまさではなく、
読まれない中で、何を残すかという設計なのです。

まとめ:やさしくしていい、でも油断しない

初心者デザイナーの方に
伝えたいのは、これです。

  • やさしく書いていい
  • 丁寧に整えていい
  • でも「何を伝えたいか」だけは逃げないでほしい

それが決まっていない文章は、
どれだけ読みやすくしても、
きれいに読み飛ばされます。

人は、読みません。
だからこそ、
設計する価値があるのです。

(執筆者:ケイ)

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