
今回は「モールの店舗が強すぎて、もう自社のECサイトはやめたい…」と言われる店舗さんに、少し視点を変えた「BtoBtoC的な小さな卸し」の展開を書いてみようと思います。
実は私自身、15年以上前から大量の商品を扱う、インテリア、資材などのBtoB系ECの相談も多かったです。
3万点、5万点の商品を扱う会社では、商品登録を専門に行う会社をご紹介することもありました。
面白かったのは、その商品登録会社自身から「BtoCのECを学びたい」と相談を受けていたことです。
大量の商品を扱うBtoBでも古い卸売の感覚のままでは、小さなお店が気軽に仕入れることはできません。
そのため、私はBtoCのネットショップで培った「お客様が買いやすいサイト」を、BtoBに取り入れるお手伝いをしていました。
この「BtoCの考え方をBtoBに取り入れる」という話は、この記事の後半でもう少し詳しく書いています。
2000年初頭から「売れない、転換率が上がらない」を店舗と解決してきた元ECプランナー/コンサルが、現在でも多くいただくご質問にお答えするために、「ECの基礎」として本質的な売上の作り方を書いています。
筆者が最も得意とするのは、LPの企画・制作、販売企画、顧客対応・顧客目線、Webブランディングです。みなさまがネットショップで成果を出すためのヒントになれば幸いです。
多店舗の運営で消耗する現場のリアル
現在では、通販に慣れたお客様が多いので、こんなことが起きています。
テレビやSNSなどで気になる商品を見つけると、まず「ネットで送料無料で販売してない?」と探し、さらに「楽天ないかな。ポイントつくし」と検索するので、自社のECサイトで集客してもモールで買われてしまう。
また、楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、自社ECサイトと複数店舗を並行運用で、売上は少なくても手間は同じだから、維持費も作業負担も多い儲からない自社ECサイトはやめようと本気で閉店を考える方も多いです。
でも実は、自社ECサイトにできることは、たくさんあります。
主なものをまとめると、
- リピーターの囲い込み(定期購入・サブスクで利益率を最大化)
- ブランドの世界観や開発ストーリーの発信(ブランディング、オウンドメディア化)
- テストマーケティングと商品企画の検証
- 実店舗(オフライン)との連動(OMO)
- BtoB・卸業務のオンライン化、効率化
どれも有効です。実際に自社ECサイトを有効活用している会社はあります。ですが、全部をやるのは大変ですので、今日はその中でも、あまり語られない「5. BtoB(小さな卸し)」に絞って書きます。
簡単・便利に仕入れたい「小さなお店・宿など」をお客様にしたことで、自社ECサイトを残せたお話です。
実績編:小さなお店が抱える「仕入れの壁」を自社ECで助ける
実際に店舗さんとやってみてわかったことですが、小さく始めた「カフェ」、チェーン店ではない独立店舗の「居酒屋」などは、中央卸売市場や総合卸売のような場所に出入りをしても、大きなロットでの仕入れができないため、動けば動くほど経費の無駄になるため、いっそネットで少量で仕入れられないかと考えるようです。
特にメーカーさんでは、そういう方たちに向けて、自社ECサイトを小さなBtoBサイトにして生き残らせた例を多数見てきました。
詳細は書けませんが、紅茶専門店の紅茶、冷凍のチーズケーキ、魚介類、肉類、酒類、カトラリーケースのような雑貨類、ティーカップ、お皿、テーブルや椅子などがあります。
小さなお店(個人店・地方店)は、少量の仕入れに困っています。
「大手の問屋や卸売り市場」などの審査や保証金・大きすぎるロット。さらに地方からの交通費・移動時間のコストなど大きな経費となります。
さらに、「少量でいいから専門的なものが欲しい」という受け皿にもネットショップはなりうるのです。
自社ECサイトだからハマった3つの販売方法
- 飲食・食材(魚介類や肉類、加工品など)は、「仕込みの手間をなくしたい個人の居酒屋、スナック、バル」などへ、電子レンジだけで出せるご飯類や小分けの冷凍素材などが、ロスをおこさないと大人気になりました。
- カフェ・嗜好品(紅茶・スイーツなど)は、専門知識や仕入れルートのない個人カフェに、専門店品質の茶葉やスペシャルティコーヒーを小ロットで提供し大変喜ばれています。
- 店舗用備品・雑貨(カトラリーなど)は、カトラリーケース、お砂糖入れ、カバンを入れるカゴなどの雑貨類も好評です。
仕入れに出向くよりも、「ネットで気楽に取り寄せられる」便利さと、自社ECならではの柔軟な個別対応やロットの交渉ができるので、非常に便利だと喜ばれていました。
それにネットショップは…、普段からBtoCで鍛えているので、丁寧な対応は問屋さんよりも得意です。
さらに小さなお店さんは、BtoBといえるほど大きくなくても、一般のお客様よりも顧客単価は高く、繰り返し、定期的に購入してくれるお得意様になります。そう考えれば、いい商売ができると思いませんか。
集客方法は、キーワード少な目、低予算でGoogle広告を使う
もちろんSEOもチャレンジしたほうがいいですが、まず業態ごとのキーワードの選定が必要になりますし、ここでなかなか順位が上がらずに悩んでいるよりは、Google広告を使ったほうが低予算で手間をかけずに集客できます。
広告は高そうと敬遠する人も多いですが、「業務用」「小ロット」「仕入れ」などのキーワードのみに絞って運用すれば、月5~8万円前後の低予算でも機能しました。
いわゆる一般の顧客向けのキーワードを排除して(これは高額です)、卸しや仕入れのみに絞った運用ということです。
実は成功例はたくさんあります…
プリント会社が学校へ2,000枚のプリントTシャツを提供、スイーツ店が小さなカフェ向けに冷凍ケーキをカットして提供、スポーツ用品店が部活動用の備品を販売など。
すべて小さなBtoBですが、お店や学校の希望に丁寧に対応することで、一般のお客様よりも大きな価格で、定期的な注文をいただいています。
自社ECサイトを“社内ベンチャーの実験”にした話
ある会社では、閉店するぐらいなら「スタッフが新規事業にチャレンジする場所」として活用しました。
こんなやり方です。
- 社内から新しい商品やサービスのアイデアを募集する
- 「期間は半年、仕入れや広告の予算は〇〇〇万円まで」と枠を決める
- 手を挙げたスタッフに、企画から販売までの全てを実際に任せる
これ、会社にとってもスタッフにとっても、実はすごくいいことづくめです。
新しくネットショップを立ち上げると、決済の仕組みやデザインを用意したりと、それだけでお金も時間もかかります。でも、すでに動いている自社ECがあれば、初期費用をほとんどかけずにスタートできます。
また、あらかじめ期間と予算の上限を決めておけば、会社として大きな赤字を抱えるリスクもありません。
何より、自分たちで考えたサービスの構築や商品の仕入れ、新規顧客の開拓はスタッフにとって最高の成長の機会になります。もし失敗しても貴重な経験とデータが社内にしっかり残ります。
どんなアイデアが出てくるかワクワクしますね。
最後に、企画を妄想してみます「ドッグカフェ&犬と泊まれる宿」で
実際の成功例をお届けしたかったのですが、このテーマだけは実例を書くとネタバレしてしまうので、「こんなのできたら面白そう!」という企画を最後に妄想で書いてみます。 (*- -)(*_ _)ペコリ
たとえば、犬用のフードや可愛いリード、お出かけバッグなどを扱っている雑貨メーカーさんの場合。
一般のお客さま向けだけでなく、「ドッグラン」「ドッグカフェ」「ペットと泊まれる宿」などの施設を自社ECのお客さまにするのはいかがでしょうか。
愛犬とのお出かけや旅行先では、飼い主さんの気持ちも、「せっかくの思い出だから」と、お店や宿のフロントに並ぶ可愛いリードや雑貨を、ついつい記念に買ってしまったりするものです。
カフェや宿のオーナーさんからすると、大掛かりな問屋さんと契約して大量に仕入れるのはハードルが高いので、「必要な分だけネットでサクッと注文できて、数日で届く」ほうが、仕入れの手間もかからずずっと便利だったりします。自社ECサイトを、そうした施設向けの「小さな卸窓口」にするという試みです。
こういった企画の話をすると、「そんなの本当に儲かるの?」「宿がわざわざ買ってくれるの?」と、始める前から諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
でも、何も試さないうちから「ダメだ」と決めつけないでください。
派手なビジネスモデルでなくても、「そのお店や宿にとって本当に便利で助かる仕組み」になりさえすれば、チャンスは必ずあります。自社ECという仕組みがあるからこそ、試してみる価値は十分にあるはずです。
場合によっては、自社ECサイトの生き残り策どころか、新しい事業の柱になったケースもあります。
実際にこの内容ではありませんが、宿に対する企画では複数の成功例もあります。
ECの本当の主戦場は「BtoB」、外にある95%の巨大市場
モールの厳しい競争で消耗している店長さんに、ぜひ知っていただきたいのは、世の中のEC市場全体の約95%はBtoB(企業間取引)だという事実です。
みなさんが奪い合っているBtoCは、全体のわずか5%ほどに過ぎないのです。
私は15年前から、インテリアや建設資材などのBtoBのECサイトの相談を受けてきましたが、そこで確信したのは「BtoCで培った丁寧さやスピードは、BtoBのECでも圧倒的な価値になる」ということです。
電話やFAXが残る資材・備品業界、小さな飲食店などに、「小ロットでサクッと買えて、すぐ届く」という体験をお届けするだけで、現場の職人さんや小さなお店から強く支持されると思います。
モノタロウやアスクル、Amazonビジネス、富澤商店が大きく成長したのも、この利便性を提供したからです。
相手が事業者なら定期的なリピートになり、1回の取引規模も大きくなります。
自社ECを「現場を助ける仕入れ窓口」にしてみる。これまで磨いてきた顧客対応力があるからこそ、試す価値は十分にあると思います。
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